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猫は、犬とは違い、うんこを人目につかない
隠れた場所ですることで、知られている。「そ
の猫」も、その点では他の猫と何ら変わりは
なかった。ただ、ひとつ、「詰めが甘い」とい
う点を除いては。
「その猫」は、その日、便意をもよおしたのか 、少し千鳥足になりながら、公園の茂みの中 へよろよろと歩いていった。まさか、その一 部始終を見ず知らずの男に観察されていよ うとは思いもよらなかったに違いない。
「その猫」は、その日、便意をもよおしたのか 、少し千鳥足になりながら、公園の茂みの中 へよろよろと歩いていった。まさか、その一 部始終を見ず知らずの男に観察されていよ うとは思いもよらなかったに違いない。
「その猫」は、公園の茂みの少し奥まった所
までたどり着くと、右の後ろ足で荒々しく地面
を掘り始めた。一刻も早くうんこがしたかった
のだろう。その行動のひとつひとつが、ひどく
乱暴で投げやりのように思えた。
ある程度まで掘り進めると、「その猫」の動き がピタッと止まった。そして、ゆっくりと体を屈 めながら、ちょっぴり恍惚の表情を浮かべる。 「ニャ…」
ある程度まで掘り進めると、「その猫」の動き がピタッと止まった。そして、ゆっくりと体を屈 めながら、ちょっぴり恍惚の表情を浮かべる。 「ニャ…」

今まさに、「その猫」は、うんこをしているの
だ。うんこをしているときに、恍惚の表情を
浮かべるのは、男も女も猫も同じ。地球上
すべての生き物に共通する快楽の瞬間だ。
しばらく快楽の時間を楽しんだ「その猫」は、 余韻に浸る間もなく、むくっ、と立ち上がり、 自らのしたうんこを土で被せる作業を始め る。が、そのときだった。
公園の茂みの僅かな隙間から、その一部始 終を覗いていた私に、「その猫」が気づいた のだ。
しばらく快楽の時間を楽しんだ「その猫」は、 余韻に浸る間もなく、むくっ、と立ち上がり、 自らのしたうんこを土で被せる作業を始め る。が、そのときだった。
公園の茂みの僅かな隙間から、その一部始 終を覗いていた私に、「その猫」が気づいた のだ。
その瞬間の「その猫」の挙動不審ぶりが忘れ
られない。一体、どんな表情をすればいいの
か、一体、どんな仕草をすればいいのかが
わからず、「その猫」は、ただただ呆然と立ち
尽くし、あまりの恥ずかしさのあまり、「ニャ
ー」と鳴いて見せるのが精一杯だった。
うんこの一部始終を覗かれてしまった一匹の 野良猫と、将来に大きな不安を抱える一人の 男との世にも奇妙な出会い。それは、何て無 意味で虚しい出会いだろう。
うんこの一部始終を覗かれてしまった一匹の 野良猫と、将来に大きな不安を抱える一人の 男との世にも奇妙な出会い。それは、何て無 意味で虚しい出会いだろう。

