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本当の正義。優しさ。この一見、美しい言葉ほど、今まさに我々が生きている、この欲望にまみれた
世界において、全く意味を持たない言葉はないだろう。
ある海辺の街に、浦島太郎という男がいた。「超」がつくほどの真面目な性格。悪を絶対に許さない 正義感。彼を知る多くの人たちがそう口を揃えるように、彼はまさに、そういう男だった。ある夏の日 の海辺で、あの不思議な亀を助けるまでは…。
彼はある夏の日、自宅近くの海辺を散歩していた。と、浜の遠くの方から、何やら子供たちの大声が
聞こえてくる。よく耳を凝らしてみると、どうやら罵声のようである。人一倍正義感の強い、彼は「見過
ごすわけにはいかない。」と慌てて、子供たちの元へと駆け寄る。
「おい!おまえら、何をしているんだ。」
よく見ると、子供たちは一匹のウミガメを取り囲み、殴る蹴るの暴行を加えていた。突然の集団暴行 になすすべのないウミガメは、無抵抗のまま放心状態になっていた。そんなウミガメを不憫に思った 彼は、鬼の形相で子供たちを追い払った。
「おい!おまえら、何をしているんだ。」
よく見ると、子供たちは一匹のウミガメを取り囲み、殴る蹴るの暴行を加えていた。突然の集団暴行 になすすべのないウミガメは、無抵抗のまま放心状態になっていた。そんなウミガメを不憫に思った 彼は、鬼の形相で子供たちを追い払った。
救われた形となったウミガメは、一瞬の沈黙のあと、彼にこういった。
「今日は本当にありがとうございました。お礼と言ってはなんですが、わたしが経営する竜宮城という
店があるのですが、今夜辺りお越しになりませんか。」
今思えば、それがウミガメの手口だったのだ。
猛烈に暑い夏だった。その猛烈な暑さに頭がやられてしまったのか、彼は人生最大の過ちを犯すこ
とになる。
午前零時二十分。彼はウミガメとの約束の時間から少し遅れて、秘密クラブ「竜宮城」に到着する。
今までの彼とは180度違う世界。ふしだらな姿をした踊り子たちが、煌びやかに踊り、今まで口にした
ことがない食べ物がふんだんに出てくる。
そんな別世界の猛烈な暑さに彼の頭が完全にやられてしまうのには、そう時間はかからなかった。
彼はいつの間にか、秘密クラブ「竜宮城」の常連になり、足しげく店に通うことになる。いつしか、正義 や優しさという言葉がうそ臭いもののように思え始め、彼の脳裏から忽然と姿を消した。
「正義?優しさ?そんなもの、幻に過ぎない。」
そんな別世界の猛烈な暑さに彼の頭が完全にやられてしまうのには、そう時間はかからなかった。
彼はいつの間にか、秘密クラブ「竜宮城」の常連になり、足しげく店に通うことになる。いつしか、正義 や優しさという言葉がうそ臭いもののように思え始め、彼の脳裏から忽然と姿を消した。
「正義?優しさ?そんなもの、幻に過ぎない。」
ある夜、彼は店長であるウミガメから、あるメモを手渡される。そのメモにはある小部屋の場所を示す
地図のようなものが描かれていた。その地図の示す通りに、その部屋に行くと、それはそれは露な姿
の女が彼を待っていた。彼は、嬉しそうに、その女の体に、その浮かれた手を伸ばす。その時だった。
けたたましい爆音とともに、重苦しい制服を身にまとった男たちが大挙して入ってきた。
「警察だ。」
彼のすっかり汚れちまった心に衝撃が打ち抜かれる。パニックになり、すっかり自分で自分を制御でき なくなった彼は、そこらじゅうの人や物を根こそぎひっくり返し、暴れた。それから、いったいどれだけ の時間が経ったのだろう。高い塀の中から出てきた彼は、見るも無残な白髪頭の老人のようになって いた。
けたたましい爆音とともに、重苦しい制服を身にまとった男たちが大挙して入ってきた。
「警察だ。」
彼のすっかり汚れちまった心に衝撃が打ち抜かれる。パニックになり、すっかり自分で自分を制御でき なくなった彼は、そこらじゅうの人や物を根こそぎひっくり返し、暴れた。それから、いったいどれだけ の時間が経ったのだろう。高い塀の中から出てきた彼は、見るも無残な白髪頭の老人のようになって いた。













