【日常刺激ジャーナルをRSSリーダーで購読】はてなRSS | livedoor reader | My Yahoo | Google | goo rssリーダー | Bloglines | Technorati
現在の位置: jarnal.net > 社会 > 記事
右から左に受け流す物語
「隅田川の夕日は美しい。」
錦糸町の印刷工場で働くカズオは、一人呟く。 18歳で故郷の鳥取から上京して、はや12年。 幼少期はどうしようもないハナタレ小僧だったカズオも、 今では世間の30そこそこの男たちと同じように結婚を考える歳になったが、 どうにもこうにもお金がない。 結婚どころか、今日食べる飯にも困る有様だ。
錦糸町の工場を出て、浅草橋のアパートへ徒歩で向かう。 錦糸町や両国界隈を彩る煌びやかなイルミネーションも、 今のカズオの心には、卑しい拝金主義者たちの汚れた遠吠えにしか映らない。
「無意味だ。何もかもが無意味だ。」
カズオの心は、もはや救いようがないほど荒み、 傷ついていた。
そんなガラスのようなカズオの心を 唯一癒してくれるのが、 両国橋から望む隅田川の夕日だった。
「隅田川の夕日は美しい。」
カズオはもう一度呟く。

しばらくの間、隅田川の美しい夕日を堪能していると、 突然、カズオの右から得体の知れないものが飛び込んできた。 びっくりしたカズオは、慌ててそれを右から左へ受け流す。 やりきれない思いにかられ、決死の思いで右の方角に目を向ける。
「錦糸町か…」
どうやら、それは錦糸町の方角からやって来たらしい。
安心しているのも束の間、 それは再び右からやってきた。 カズオはどうにかして、それを跳ね返そうとしたが、 それはあまりにも力が強く、 跳ね返すことができない。 仕方なく、カズオは再びそれを右から左へ受け流した。

右の耳がひんやり冷たい。 どうやらカズオは出血したらしい。 出血に気づいたカズオは怒りに打ち震える。
「くそ・・・なぜ右からなんだ…」
考える間もなく、それは次から次へと右からやって来る。 その度に、カズオは、ただただ右から左へ受け流すしかなかった。

それは、深夜1時まで続いた。 いつしか夕日は沈み、辺りは夜の暗闇に包まれていた。


記事ジャケ
記事ジャケダウンロード
日常刺激ジャーナルの超激レア、記事ジャケットがダウンロード できるようになりました。自分のブログに貼ってみるのもよし、家 でこっそり楽しむのもよし!使い方は自由です。
記事ジャケダウンロード
右のダウンロード・ボタンをクリ ックするだけで、簡単にダウン ロードすることができます。
記事ジャケダウンロード
日激最新記事
はてなRSSに追加
livedoor Readerに追加
My Yahoo!に追加
Googleに追加
goo RSSリーダーに追加
Bloglinesに追加
Technoratiに追加